私は土木歴21年目の現場監督です。
県や市の発注する公共工事に携わっています。
今回は『土砂運搬車両の過積載防止の管理方法』
について紹介しようと思います。
土木工事をする時に絶対発生する残土。
この残土は、現場に置きっぱなしにはできないので
ダンプトラックに積み込み残土処分場に運びます。
その際、現場監督が気をつけなければいけないポイントが
『過積載の防止』
の問題です。
この過積載防止の問題ですが、
過積載を防止するという点ではどの建設会社も共通です。
が、現場監督に仕事はこの
『過積載防止の管理』
です。
公共工事において、この過積載防止の管理は必須の項目ですが
管理の方法はこれといった「決まった管理方法」はありません。
各建設会社や現場監督によって、それぞれやり方が違います。
私も今までいろんなやり方で管理してきましたが、
管理の信憑性やお手軽さの観点から
今のやり方に落ち着いたので
私の実際やっている方法を紹介します。
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今までにやって、やめた過積載防止管理方法
先に、今までにやった過積載防止の管理方法とやめた理由を紹介します。
①荷姿で管理
昔は、積み込んだ土がダンプトラックの荷台の高さを超えなければOKという
先輩から教わった謎ルールを信じて管理していました。
積み込んだ土がダンプの荷台を超えないように注意して
それを台数毎にチェックシートにチェックしてたり
荷姿写真を撮ったりしていました。
やめた理由:
自分が現場監督として歳を重ねていくうちに、
このやり方がなんの根拠も信憑性もないことに気付き
やめました。
今思えば恥ずかしいレベルです。
②自重計で管理
大型ダンプには
自重計
という積載重量を測る装置が荷台の下に付いており
荷台に土を積み込んだあとに
少しダンプアップ(荷台を上げる)して計測します。
その重量を台数毎にチェックシートにチェックし、
チェック状況を写真撮影します。
やめた理由:
まず誤差がすごいです。
ダンプアップ(荷台を上げる)して計測するのですが
その上げ加減で自重計の示す数値が全然違います。
1トン、2トンすぐ違うので全く当てになりません。
ひどいダンプだとずっと使ってないので
自重計が動かないというダンプに出会ったこともあります。
話になりません。
一応車検と同じで自重計にも検査があって、
検査済証みたいなものも発行されていますが
私はこの自重計というのが
全く信じられないのでやめました。
でもきっと、
整備されたダンプトラックで
正しい測り方ができれば
積載重量管理できるんだろうと思いますが
正しい測り方を知っている運転手に
出会ったことがまだありません。
③トラックスケールを使った積み込み高さの決定
トラックスケールとは車両の重量を測る機械です。
現場でも簡単の車両重量を測ることができます。
一般的に大型ダンプに土を積み込んだ場合、
1台あたりの容量は5m3で計算します。
まず、ダンプの荷台を検測し容量を計算して、
5m3積み込んだ時の積載高さを算出します。
算出した高さを
ダンプトラックの荷台にマグネットなどでマーキングし
積載ライン
とします。
実際その積載ラインまで土を積み込んだ状態の
ダンプトラックの重量を測定し
積載オーバーじゃなかったら
その積載ラインは確定です。
そのラインまで積み込みしても過積載ではないということです。
以降その積載ラインを超えないように積み込みし
それをチェックシートにチェックし、
その状況を写真撮影します。
やめた理由:
2年ぐらい前までは
この方法で過積載防止の管理をしていました。
当時の現場は
河川の堆積土を撤去する工事で、
毎日10トンダンプトラック5台で
残土搬出をしていました。
工事の初日に各ダンプトラックの荷台を検測し
トラックスケールを使った上記の方法で積載ラインを決めて
過積載防止の管理を行っていました。
常時5台のダンプトラックは
毎日同じダンプトラックがくる予定だったのですが
ある朝なんの連絡もなく
5台中2台がいつもと違うダンプトラックでした。
新しいダンプトラックが来たということは
また荷台を検測し
トラックスケールを使って
積載ライン
を決めなければいけません。
しかし、トラックスケールは普段現場にありません。
仕方なくその時は
その2台には大体で積み込みをして
過積載防止の管理はできませんでした。
その時の経験からこの方法は
いきなりダンプが変わった時に対応できない
という事でやり方を改良しようと思いやめました。
最初だけトラックスケールを使った過積載防止の管理方法
今私が過積載防止の管理方法でやっているのが
トラックスケールを使った積み込み回数の検証です。
上記③の改良版です。
一般的に大型ダンプトラックに土を積み込んだ場合
1台あたりの容量は5m3で計算します。
現場で使用する重機は0.7m3バックホウを使用するとします。
まず、ダンプトラックにバケットすりきり7杯積み込みます。
0.7m3 ✕ 7回積み込み = 4.9m3 ということですね。
この状態でトラックスケールで車両重量を測定し
重量オーバーしていないことが確認できたら
積み込み回数はバケットすりきり7杯と決定し
以降は積み込み回数をチェックシートにチェックし、
その状況を写真撮影します。
検証の続きです。
バケットすりきり7杯分積み込んだ
その重量を7で割り
バケットすりきり1杯当たりの重量を出します。
その検証をダンプトラックの台数分行い
バケットすりきり1杯あたりの土の重量の精度をあげます。
検証結果を書類として取りまとめて
「この現場の土は0.7m3バックホウのバケットすりきり1杯で〇〇kgです」
と結論づけます。
これ以降は、バケットすりきり1杯の重さがわかっているので
バケットすりきり1杯の重さ ✕ 積み込み回数 = 積載重量
< ダンプの最大積載重量
となるように
積み込み回数をチェックするだけなので
いきなり新しいダンプが来てもへっちゃらです。
現場での検証を終えたダンプトラックを
再資源化施設などの計量設備のあるところつれていき
計量した数値が、
現場で検証した数値と大差ないことが確認できたら
この検証の信憑性がより高まるよ。
その時実際作った資料です。
まとめ
今回は、土砂運搬時の過積載防止の管理方法を紹介しました。
いろいろ試してきた結果
管理の信憑性とチェックの手軽さの面で
この方法に落ち着いています。
実際他にも色んな方法があると思いますが
どういう管理方法を取る場合でも
・管理方法を施工計画書に記載する
・現場で検証が必要なものは検証し、結果を打合せ簿で提出する
・管理方法について発注者の承認を受ける
この手順は踏んでおきましょう。
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