【コンクリート二次製品】現場搬入時に行う、5つの管理ポイント

私は、土木経験21年目の現場監督です。
県や市の発注する公共工事に携わっています。

今回は、コンクリート二次製品現場搬入時の管理ポイントについて
話していきたいと思います。

土木工事を行う上で必須の材料であるコンクリート。

このコンクリートを原材料にしてあらかじめ工場で作られた製品が

「コンクリート二次製品」です。

道路際の側溝や歩道と車道の境目のブロック、
河川の護岸ブロックなどがそうですね。

このコンクリート二次製品ですが
土木工事では必ずと行っていいほど使います。
コンクリート二次製品を使わない現場は
無いと言ってもいいぐらいです。

今回は、現場での使用頻度の高い
コンクリート二次製品の管理ポイントが集中する

コンクリート二次製品の現場搬入時

に照準を当てて
現場監督が管理すべき
5つのポイント

を紹介していきます。

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1.コンクリート二次製品搬入車両の積載重量確認【安全管理】

現場でコンクリート二次製品を使用する場合、
多くは製品工場のクレーン付きトラックで
現場までもってきてもらいます。

トラックが現場に到着し、まずはじめに確認することが

「その車両が積載重量をオーバーしていないか?」

の、確認です。

普通、工事開始前の過積載対策として
事前にコンクリート二次製品工場から

「絶対過積載しません」

という内容の約束事を書いた『念書』をもらっているので
それの現場での事後確認になります。

この確認は、大抵どこの現場でもやっていることなので
トラックの運転手は車検証のコピーを常備しています。

納入伝票に製品の重量が記載されているので、
車検証の最大積載重量と製品重量を照らし合わせます。

積載オーバーしていないことを確認したら、

黒板に、過積載をしていないことがわかるよう
車両の最大積載重量に対する実積載重量を記入し
写真撮影し記録に残します。

 

 

今まで、重量オーバーした車が来たことはある?

 
 

僕の経験上無いよ。過積載の問題は発注者も特に重要視している問題ということもあって、みんなシビアに対応しているよ。

 
写真撮影のポイント
  • 黒板に書く項目に気をつけ、黒板を見ただけでなんの写真を撮ろうとしているのかわかるようにする。(日付、車番、積載物、最大積載重量、実積載重量)
  • 写真のアングルは、前から撮るときは、車両ナンバーと黒板が確認できるように
  • 写真のアングルは、横から撮るときは、黒板と荷台の製品が確認できるように
  • 納入伝票と車検証の写真もアップで撮っておく
  • 全景と接写を使い分けて、わかりやすく撮影する

2.コンクリート二次製品の外観確認(品質管理)

積載重量確認が終わっても、まだ荷降ろしは出来ません。

次は、コンクリート二次製品の『外観確認』です。

外観確認とは、製品にひび割れが無いか、角が欠けていないか
表面に傷がついていないかなどのチェックです。
搬入時に以上の発見された製品は、返品となります。

チェック方法としては
トラックの荷台に上がりすべての製品を目視でチェックします。

その際、必要なチェック項目の入った
チェックシートを任意の様式で作成し
各綱目をチェックして
最終的に納入数量に対して、

良品○個 不良品○個

と言うふうに記録します。

 

チェックシートの様式は、簡単なものでいいと思うよ。
実際その時確認しているのは、ひびや傷があるかどうかだから項目としては少ないしね。
大切なことは「その都度きちんとチェック(管理)していますよ」ということだね。

 

また、その様子を
「コンクリート二次製品、搬入時外観確認状況」
などと黒板に書き、一緒に写真にも収めておきます。

コンクリート二次製品の外観確認は搬入車両ごとに行い
積荷すべてをチェックします。

というのは建前で本音は

全部のチェックは現実的に無理 」です。

どういうことかと言うと、
例えば10tトラックで大型の側溝を10本搬入してきたときは
10本をじっくり外観確認チェックできると思います。

しかし、同じ10tトラックで小型の積ブロックなどを積んできたときは
その数は270個にもなります。
しかも何段にも積み重なっています。

それを荷降ろし前に全部チェックするというのは不可能です。

ですが、コンクリート二次製品の引き渡しのタイミングは
現場に荷が降りた時
です。

なぜそのタイミングかと言うと、
外観確認の時にひびや傷を見つけられなかったら
実際現場で使うときまで保管になります。

いざ現場で使おうとした時、
「あっここに傷がある」
と気づいても、

搬入から時間が立っていれば
それはもう現場で付いたキズということになり
返品はできません。

なのでこの、

『コンクリート二次製品搬入時の外観確認』

が、いかに重要なことかわかると思います。

でも製品の数が多いとチェックしきれないのも事実です。

よって、ここは割り切ります!

コンクリート二次製品は、大体大きさと値段が比例します。

10tトラックに1個しか乗らないような大型の製品は
それこそ1個で数十万円するものもあります。

逆に10tトラックに200個も300個も乗るような、
小型の製品は、1個数百円レベルです。

なので、

大型の製品になるほど厳しくチェックし

小型になるほどチェックを甘くする。

私はこうしています。

多分ほとんどの現場監督がそうしています。

これは、実際知り合いの会社であった話ですが、
大型のコンクリート二次製品を現場に設置したあとに
ひび割れを発見したケースで

発注者からはやり直しを命じられ


工事業者とコンクリート二次製品業者の
責任のなすりつけ合い

になったという事がありました。

コンクリート二次製品搬入時に外観確認をキッチリやっていれば
もう少しことが大きくなる前に対処できていたかもしれません。

 

自分の現場でこんな事が起きたらと思うと
ゾッとします。

 

工場側も当然、
大型の重要な製品は必要以上にデリケートに扱っているし
早々傷物を出荷することも無いと思いますが
もしものために外観確認は十分チェックしましょう。

逆に小型の製品の場合
全部チェックしようとしたら
時間と手間がすごくかかります。

ある程度は荷降ろし前にざっとチェックして、
もし現場でいざ使う時に傷物を見つけても
私は潔く諦めて廃棄するようにしています。

外観確認のポイント
  • 荷降ろし前に行う
  • 簡単なチェックシートを作り、チェックしその様子を写真に残す
  • コンクリート二次製品は大きくなるほど高額になる
  • 大型のコンクリート二次製品ほどしっかりチェックする
    (後からキズに気づいたら大変なことになる)
  • 小さい数の多い製品のチェックはほどほどにする
    (時間をかけて確認する手間と材料1個あたりの値段を天秤にかける)

3.材料検収(品質管理)

コンクリート二次製品の外観確認が完了したら、荷をおろします。

その際、製品を直接地面に置くのはNGです。
枕木などを敷き直接地面に置かないようにします。

荷降ろしが完了したら

『材料検収』です。

材料検収とは工事開始前の施工計画で
発注者に承認してもらった材料を
きちんと現場で使っているかどうかの確認です。

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コンクリート二次製品の寸法や数量をチェックし
記録及び写真撮影します。

その際、コンクリート二次製品には
メーカー名や製品名が刻印してあるので
それらも一緒に撮影します。

私の経験上

「この側溝、1cm長いぞ」

 とか

「このブロック、他に比べて1cm大きい」

などの不良品や粗悪品には
今までであったことがありません。

そのくらい、
コンクリート二次製品は工場でミリ単位で管理されていて
きっちりした製品が出荷されてきます。
(積込や運搬時につくキズは外観確認で見つけます)

なので、この材料検収という作業は
「やらなくても大丈夫だよ」とか
「確認しなくてもいいよ、いつも大丈夫だし」
と、ついめんどくさがってしまう作業でもあります。

特にコンクリート二次製品が多い現場だと、
同じ日に何台も製品を搬入するときがあります。

その搬入台数毎に
この作業をしなければいけないので
確かにめんどくさいです。

ちょっとぐらいやらなくても、わからないだろうと
手を抜く現場監督もいます。

けど、そういう人に限って発注者の検査に時に
手を抜いた所をちょうど突っ込まれたりします。

これは現場監督あるあるで、ほんとによくあります。

 

もしや、ある?

 
 

あります。
手を抜いた所を、ちょうど指摘されるというのはほんとにあるあるです。

 
材料検収のポイント
  • まず製品をきれいに並べる。並べ方が汚いと、個数確認の全景写真が汚く見える
  • 種類別でコンクリート二次製品に検尺用のロッドをあて、寸法がわかるように写真撮影する
  • その際、製品の製造元や製品名の刻印も見えるように写真撮影する
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4.コンクリート二次製品の製造年月日確認(品質管理)

材料検収が終わったら、
今度はコンクリート二次製品の製造年月日確認です。

製造年月日はコンクリート二次製品自体に刻印してあります。

刻印してある場所は、
コンクリート二次製品を最終的に現場に設置した時に
隠れる面に刻印してあります。

例えば、側溝なら
水が流れる側溝の内側以外の面

ブロックなら
顔となる表面以外の面

などです。

どこかに必ずあります。
探してみてください。

この「製造年月日」なんのために確認するかというと
後々そのコンクリート二次製品の品質を証明するため に確認します。

コンクリート二次製品工場では、ほぼ毎日製品を製造しています。

よって毎日
原材料であるコンクリートの管理や
出来上がってくる製品の管理を
工場の品質管理担当の部署が管理しています。

管理している内容は
「コンクリートのスランプ、圧縮強度、出来形寸法」
などです。

このようなデータを毎日測定し、
月ごとに集計して
「品質証明資料」として取りまとめています。

スランプ:凝固前の生コンクリートの流動性を示す数値
     (スランプ値が高いほど、コンクリートが柔らかい)

圧縮強度:材料が圧縮力を受けて破壊する時の最大強さを単位面積あたりの力で表した数値のことで、コンクリートの品質規程の一つとされる
                     

                     施工の神様からの引用

  出来形寸法:文字通り、出来た形、寸法を測定すること

1つの工事が完了すると
現場と書類を確認する竣工検査が行われます。

その竣工検査で確認される事項の1つに、
このコンクリート二次製品の品質証明があります。

土木業者は工場で作られたコンクリート二次製品を
メーカーから買って現場で使用しています。

自分でコンクリート二次製品を作ったわけではないので
その品質を自分では証明することが出来ません。

よって、製造工場に品質を証明してもらうために
コンクリート二次製品搬入時に確認した製造年月日をもとに
その日のデータシートを製造工場から取り寄せて
品質証明資料として用意するのです。

ここで注意するポイントを言います。


工場側は土木業者から注文を受け、現場に配達します。

その際工場側には、
どの会社の、どこの現場に、何を、何個配達したという記録は残りますが
その

配達した製品の製造年月日までは把握していません。

それを把握しておくのは、
あくまでもコンクリート二次製品を買った土木業者の方であり


現場監督である『あなた』です。

もしも、
コンクリート二次製品搬入時にこの製造年月日確認を忘れたら
その製品がいつ作られたものかがわからないので
品質証明資料を製造工場から取り寄せることができなくなります。

実際搬入時に製造年月日を確認し忘れても、
コンクリート二次製品を現場に設置して、
製造年月日の刻印が埋まって隠れてしまう前に
気がついて写真を撮れればセーフです。

ですが、写真の絵面的にも悪いので
製造年月日確認は材料搬入時の材料がきれいに並んでいる時に
するように習慣づけることをオススメします。

土木工事の竣工検査は、
検査官によって書類の見どころが違うことがよくあります。

「この検査官は安全書類をよく見る」

とか

「あの検査官は品質管理を重視する」

など

当たる検査官によっては、
せっかく作った書類の力を入れた部分が全然見られないということが
多々あります。

が、このコンクリート二次製品の品質証明はほぼ必須

ほとんどの検査官が確認してくる事項です。

製造年月日の撮り忘れ、気をつけましょう。

製造年月日確認のポイント
  • 忘れないこと

5.コンクリート二次製品の保管(品質管理)

最後は、搬入したコンクリート二次製品の「保管」です。

搬入してから実際現場で使用するまで、
どのように保管していたかを写真に残します。

搬入から実際使用するまで時間がある場合は、
実際に要点を守った保管状況を写真撮影しておけばいいです。

ですが

「搬入したらすぐ使うから、保管なんてしないよ」

という場合もあると思います。

実際そういうときはあるし、
現場がコンクリート二次製品待ちの状態ならなおさら
到着してすぐ使いたいと現場の職人はいうでしょう。

ですがチョット待って、一旦落ち着いて
このコンクリート二次製品の保管状況の写真を撮りましょう。

なぜなら、これもよく竣工検査で指摘される事項なのです。

この写真が有るか無いかで、
工事の「丁寧さ」の評価が変わるし、
実際この保管状況の管理は検査のチェック項目の1つです。

実際に検査を受けるのは職人さんではなく


現場監督の『あなた』です。

竣工検査でいらない指摘を受けないように
このコンクリート二次製品の保管状況の写真は絶対取るようにしましょう。

 

自分に言い聞かせてます!

 
コンクリート二次製品の保管のポイント
  • コンクリート二次製品を直接地面に置かない(枕木などを敷く)
  • コンクリート二次製品を重ねる場合も同様(製品の上に枕木を置いて、その上に重ねる)
  • 保管状況の写真を撮るときは、上記の事が見えやすいように撮影する(全景写真では枕木が見えにくいので、接写で枕木が見えやすいように撮影する)
  • 写真を撮った後、製品全体をブルーシートで囲って、それを写真撮影して終了
 

実際この、ブルーシートで囲うという行為に、
なんの効果が有るか?と聞かれたらわからないし、
正直ないと思います。
ですが、写真の見た目的と発注者受けが良いのでやってます。

 

まとめ

今回は、コンクリート二次製品の現場搬入時に現場監督が管理するべき、
5つのポイントを紹介しました。

1の積載重量確認と、2の外観確認、3の材料検収は
正にそのタイミングでしか出来ない事項なので
やり忘れは無いと思いますが、

4の製造年月日確認と、5の保管状況撮影は
結構忘れがちです。

なにげに1~5まで結構検査で指摘される大事な項目です。

取り返しもつかないものもあるので、
ぜひ『コンクリート二次製品搬入時には、5つやることがある』
覚えてもらって

もし自分が材料搬入時の管理をしている時
4つしか管理項目をこなしていなかったら、
なにか1つ忘れていると思い返して貰えればなと思います。

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