現場監督には、叩き上げといきなりデビューの2種類あるという話

現場監督

工事現場を『原価・工程・品質・安全』の面で管理し完成に導くのが現場監督です。

 

この現場監督ですが、

実は現場監督になるまでの過程で、

2種類に別れます。

 

それは、叩き上げの現場監督といきなりデビューの現場監督です。

 

叩き上げの現場監督とは、

もともと土木作業員や職人だった人が転職し現場監督になるパターンです。

 

いきなりデビューの現場監督とは、

専門学校や大学などの学校を卒業後、土木会社に就職し現場経験が少ないまま現場監督になるパターンです。

 

今回は、この2種類の現場監督について、紹介していこうと思います。

 

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叩き上げの現場監督

叩き上げの現場監督は、

もともと土木作業員や職人をしていた人がその延長で現場監督に転職するパターンです。

 

土木作業員の時の作業の経験や、職人の時の専門の知識などを現場監督のこれからの仕事で活かすことが出来ます。

 

世間一般のイメージで、
土木は昔ヤンチャしていた人が多いなどとよく言われます。

 

私自身長くこの業界に身をおいてきて、
全員がそうとは言いませんが、否定もしません。
確かに多いです。

 

実際高校中退で土木の業界に入った人や、
親が職人で親に憧れて最初から高校進学せずに職人になった人など、
若くからこの業界で働いている人は多くいます。

 

そんな若いときから土木作業員や職人の仕事で培ったスキルを持ったまま、
クラスチェンジしたのが叩き上げの現場監督です。

 

強い点として、
土木のいろんな事を経験しているのはもちろんですが、
若いときから社会に出て現場でそれこそ色んな人と交流しているので
現場監督に必要なコミュニケーション能力が培われています。

 

あと、
今まで作業員や職人として働いていた会社でそのまま現場監督になるのか、
別の会社に移って心機一転現場監督になるのかの違いがありますが、
どっちにしろ今までの経験で、土木会社や現場の雰囲気にもなれていますし、
今まで実際現場で現場監督を見てきているので、
現場監督の仕事内容もなんとなくわかっていたり、
現場でいろんな作業を経験していて、
道具や機械や作業の名前など専門的な言葉も日常で触れているので、
物事を習うときに理解しやすいです。

 

弱い点としては、学歴が無いところです。

 

正直自分の中では、現場監督に学歴は必要ないと思っています。

 

ですが、現場監督に必要な資格を取得するときにこの学歴問題が浮上してきます。

 

現場監督に必要な施工管理技士の受講資格は

 

「学歴 + 実務経験年数」

 

となっており、
最終学歴が高度な教育機関なほど、
必要な実務経験年数が少なくなり、
早く試験が受けられるようになっています。

 

最終学歴が中学校卒の場合、
必要な実務経験年数は8年となり、
16歳から働いていたとして、
そこから8年実務を経験し23歳の年まで働いて初めて、
試験を受ける資格を得るという風なことがあります。

 

最終学歴と実務経験の関係は後で説明するよ!

 

いきなりデビューの現場監督

いきなりデビューの現場監督は、
高校卒業後や専門学校卒業後、
大学卒業後などの学校を卒業したタイミングで、
建設会社に現場監督として就職するパターンや、
全く別の業種から転職して現場監督になるパターンです。

 

叩き上げの監督と違い、土木経験ゼロの現場監督です。

 

このいきなりデビューの現場監督も

 

「土木の専門学科を出ている」

 

場合と

 

「全く関係ない学科を出ている」

 

場合で予備知識の有る無しの違いがあります。

 

後で説明する、施工管理試験の受講資格にも関係してきます。

 

別業種からの転職の人も、
土木経験はゼロですが社会人生活経験があるという点では、
ちょっと有利かもしれませんね。

 

 

私は農業高校の食品課を卒業した、予備知識ゼロのいきなりデビューでした。

 

土木の専門学科を出ている場合は、
学校で測量の実習や小型重機の実習などを受けているので、
実際の土木現場で使える技術を学生時代に習っている点
が強いところです。

 

あと、
施工管理技士の試験の受講資格である実務経験年数が短くなる点が大きいです。

現場では右も左もわからない状態でデビューになります。

現場監督生活と社会人生活同時スタートです。

 

初めて味わう会社の雰囲気、
現場の雰囲気、
社長を始めとした社員(他の現場監督)や現場の職人など色んな人がいます。

 

それこそ昔ヤンチャだった職人もいるでしょうし、物静かな現場監督もいます。

 

いろんな性格、バラバラな年齢の人と一緒に仕事をしていくことになります。

 

そんな土木の現場にどんなイメージを持たれていますか?

 

現場の作業中はみんな仕事に力が入るがゆえに、
口調が荒くなったり声が大きくなったりする場面はもちろんありますが、
休憩時間などは職人さんが面白い昔話をしてくれたり、
ワイワイ楽しくにぎやかな雰囲気なことが多いです。

私の今の現場もそうです。

 

そして休憩が終わると、
さっきまでのバカ話が嘘みたいにスイッチを切り替えて、
作業に移ります。

 

メリハリが大事です。

 

ただ、新米監督が、
この雰囲気に馴染んで一緒に楽しめるようになるには、
少し時間がかかります。

 

多くの会社では最初、
研修期間として先輩現場監督の補助について、
仕事を覚えることになると思います。

 

専門学科卒で予備知識がある人も、
学校で習ったものと実際現場にあるものでは形が違ったり、
名前や言い方が違ったりすることがほとんどなので、
結局初めてのことばかりになります。

 

朝から晩までバタバタして、忙しすぎて

「もう1日が終わった。時間たつの早すぎ」

ってなると思います。

2種類の現場監督どっちが先に資格取得できる?

叩き上げの現場監督といきなりデビューの現場監督

 

どちらも現場で実務経験を積み、
主任技術者のなるべく施工管理の資格取得を目指すことになります。

 

実務経験の豊富な叩き上げの現場監督に対し、
学歴が高いいきなりデビューの監督、
一体どっちが先に主任技術者になるための資格が取れるようになるのか比べてみました。

 

その前にちょっと現場代理人と主任技術者を説明します。

現場代理人とは、経営者の代理として工事現場の責任者を務める立場を指します。経営者が現場代理人を選任し、工事現場の責任を負うのが現場代理人の役割です。

現場代理人の仕事内容は、工事現場に常駐しながら施工上で必要な工程管理や安全管理、工事全体の運営や取締などを行います。

また、経営者の代理として請負金額の請求や受領、変更などの権限を持ちます。

主任技術者は工事現場に常駐し、施工計画の作成、工程や安全の管理、作業員への技術的な指導監督などを担います。

工事の流れを管理することが主な仕事で、工事現場の取締や請負代金額の変更や請求といった権限がないことが現場代理人との違いです。

エンジニアの熱になる建設求人サイト 現キャリ から引用

 

土木工事の主任技術者になるための国家資格「2級土木施工管理技士」を取得する場合で比べてみます。

(主任技術者になるには、指定学科を卒業しその後実務経験を積んで、国家資格の取得無しで主任技術者になる方法もありますが、それには更に長い実務経験が必要になるので、今回は国家資格を取得し最短で主任技術者になれる方法で紹介しています。)

 

2級土木施工管理技士 受検資格
一般財団法人 全国建設研修センター

 

上記の表のように、学歴によって必要な実務経験の年数が異なってきます。

3つのパターンを例に上げて、それぞれ何歳のときに受検資格を得られるのか見ていきます。

表は自作しています
  • パターン①は中学卒業後、職人を経て現場監督になったパターンです。
  • パターン②は指定学科でない高校を卒業後、現場監督になったパターンです。
  • パターン③は大学の指定学科を卒業後現場監督になったパターンです。

 

同い年の人が、
この3つのパターンに別れたときに、
以外にも2級土木施工管理技士の受験資格の取得が同じタイミングになります。

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パターン①の8年の実務経験と
パターン③の大学卒業(指定学科)+実務経験1年が受講資格として同じタイミングになります。

 

この3つのパターンは、どれも24歳の年に資格試験が受けられるということですね。

資格取得後の2種類の監督の違い

2級土木施工管理技士の資格を取得すると、工事の主任技術者になることが出来ます。

主任技術者(しゅにんぎじゅつしゃ)とは、建設業法の規定により、外注総額4000万円未満(以下、記載金額はいずれも消費税込み金額)の元請業者、ならびに下請負に入る建設業者が、直接雇用する技術者の中から、現場に配置しなければならない技術者のことである。外注総額4000万円以上の元請負の現場には、主任技術者に変えて監理技術者の配置が必要になる。なお、ここでの4000万円の金額区分は、建築1式工事の場合は6000万円となる。

建設業法第26条第1項 より引用

 

主任技術者とは、実質工事の責任者です。

 

建設業許可を持つ業者が工事を行う場合、
工事につき一人この主任技術者を必ず配置しなければいけません。

 

ということは、
言い換えれば主任技術者一人に付き、
工事(仕事)を一つ取れるということです。

 

(工事の金額などにより、一人の主任技術者が複数の工事を担当することが出来たりもしますが、ここでは説明を省きます。)

 

会社とすれば、現場監督見習いが受験資格の実務経験を満たして、
受験し合格して施工管理の資格を取得した瞬間というのは、
やっと今まで育ててきた現場監督見習いが、
見習いではなく現場責任者として使えるようになった瞬間、
さらに言えば、この人を使って新しい工事(仕事)がもう1つ取れるようになった瞬間
なのです。

 

なので、多くの会社ではこの資格取得をもって、
1つの現場の責任者として、現場をもたせるようになることが多いです。

 

その時に、パターン①のようなたたきあげの現場監督は

「やっと自分が責任者としての現場が持てる」

と意気込む人もいるでしょう。

 

逆にパターン③のようないきなりデビューの現場監督では

「現場の経験1年しか無いのに、もう現場監督なんて無理だよ~」

という風になっているかもしれません。

 

パターン②はその中間です。

 

ちなみにパターン②は私の経験です。
(農業高校の食品課卒で知識得ゼロでした!)

 
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叩き上げの監督に比べて、いきなりデビューの監督の辛いところ

私は上の表のパターン②で、
現場監督になるまでの下積みが5年ありましたが、
その5年で資格取得時には完璧な現場監督になっていたかといえば、
全然そんな事はありません。

 

それは40歳になった今でも言えることで、
できることは増えましたが、
まだまだわからないこともたくさんあります。

 

新しい現場を受け持つたび、新しい問題が浮上してきます。

 

日々勉強です。

 

パターン③に当てはまる人の、
最初に現場を「主任技術者」という立場で持たされた時の気持ちを考えると、
ゾッとします。

なので、

 

現場経験1年で主任技術者として現場責任者を任されたときに、辛いであろうこと

を自分の経験のもとに紹介しようと思います。

1.わからないことだらけ

現場経験が1年ですが、同時に社会人としてもまだ1年目です。

 

新しい会社や人、初めての環境に慣れるだけでもすぐ1ヶ月、2ヶ月立つと思います。

そうすると、あと10ヶ月しかありません。

10ヶ月で現場監督の準備を万端にすることは絶対無理です。

 

100%無理です!

 

日々現場や、事務所で出会う新しいことを1発で身につけるというのは不可能に近いと思います。

 

経験上いろんなことが自分の身につくときというのは、
物事にぶつかって立ち止まったときに、自分で必死に調べたり、
勉強したりして理解して解決できて次に進めた時だと思います。

 

なので現場監督という立場に立って、
壁にぶつかるごとにそれを一つずつ解決して、
自分に吸収する。

 

ということの繰り返しをするしか無いと思うので、
最初はわからないことだらけで辛いと思うけど、
また同じ壁にぶつかった時はすぐ乗り越えられるように、
ちょっとずつ自分の中に経験を蓄えていくしか無いです。

 

それに伴い、労働時間は長めになるかもしれません。

 

現場監督の仕事の半分以上を占める、
書類関係の仕事は夜でも室内で出来ます。

 

昼間は現場の仕事、夜は書類のことという風に、労働時間が長くなりがちですが、自分への投資と思って頑張る!

これにつきます。

2.職人と仲良くなるのが難しい

現場監督は立場上、職人に指示する立場にあります。

 

でも現場では、自分が一番歳がしたということもよくあります。

 

さらにいきなりデビューの現場監督の場合、
自分の仕事を覚えるのが精一杯で、
職人の仕事や、作業の方法、流れなどを理解していないので、
ちょっとおかしな指示を出してしまったり、

悪気はないけど、無理難題を指示してしまったりしている場合があります。

こんなことが続くと、
職人から反発を受けたり、
言うことを聞いてくれなかったりという問題が出てきたりして、
自分では収集できずに上司に助けてもらう。

 

といったことになったりもします。

 

でもこれも、上の話と同じですぐ解決できる問題ではありません。

 

私の場合は、自分の仕事の空き時間や、
時には休日等に職人に混ざって、

 

職人の仕事をさせてもらっていました

 

一緒に仕事をすることで、
どうぐの名前材料の名前
作業の順序手間がかかるポイントなど。

 

体の負担が大きいしんどい作業などを理解することが出来ました。

 

このことで、職人の気持ちが理解出来たり
自分にはない技術を持った職人へのリスペクトの心が生まれたりしました。

 

指示する時も内容をしっかり理解した上で指示できるようになりました。

 

とはいえ、
現場監督に職人に混ざって職人の仕事をしている暇はありません。

でも、
現場を進めていく上で職人とのコミュニケーションは絶対必要です。

 

なので、何よりまず

 

自分の施工管理の仕事をしっかり頑張りましょう。

 

ちょっと思い浮かべてください。

 

仕事を全然知らない若い新米の現場監督が、
現場監督のほうが立場が上なんだからと偉そうに指図してきたら、
当然腹が立ちますよね。

 

逆を考えてみてください。

 

若い新米の現場監督が、
わからないなりにも空回りしながら頑張っていたら、
どう思いますか?

 

何回言っても同じ間違いをするという人は、別のケースとして、、、

 

一生懸命頑張っていたら、
ちょっと手伝ってやろうかとか、
ちょっと教えてやろうかとかいう気持ちになると思います。

 

自分の部下がそうだったら、
私も絶対そう思うし、
現場の職人もそう思うと思います。

分がそう思うということは、他の大半の人もそう思うということです。 

 

一生懸命頑張っているのは周りの他の人に伝わります。

逆に手を抜いているのも周りの人に伝わります。

 

それがそのまま、周りとのコミュニケーションを取る上で、
いい方にも悪い方にも手助けをしてくれます。

 

なのでまずは、自分の仕事を一生懸命頑張ってください。

 

まわりの上司や職人に少しづつ認められてきた頃、自分の中に少し他のことも考えられる余裕が出てきたら、ちょっと自分の時間を割いて、職人さんの仕事を経験してみるのは、これから現場監督をやる上で絶対オススメです。

 

というより、

 

絶対経験してください!

必ず現場監督として役に立つ勉強になります。

職人さんとも仲良くなれる近道になれます。

まとめ

今回は、叩き上げの現場監督といきなりデビューの現場監督の2種類の監督について説明しました。

自分自身、現場監督(見習い)としての準備期間が長かったため、

資格取得までの時間があり現場監督になる心構えができました。

 

ですがこの、いきなりデビューの現場監督不利気味の記事のとおり、

このパターンはホントによくある話です。
(他のパターンも当然あります。大きい会社は応募資格に学歴がいるところも多々あります)

 

その場合、いかにいきなりデビューの現場監督がスタートが厳しく、

叩き上げの現場監督の経験がモノを言うのかがわかっていただけたかと思います。

 

高卒で、中小の建設会社勤務の私の考えですが、

 

現場監督になるということを明確な目標にしている場合、

私は学校の勉強より現場での経験のほうが遥かに重要と思っています。

 

実際勉強は、仕事で壁にぶつかったときでも間に合います。

 

私はいつもそうです。

もし、今回の話があなたの目指す道の参考になれば幸いです。

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